【小児矯正】RAMPA矯正(ランパ)とは?適応年齢・治療方法・期間・リスクを解説-学園都市の痛みの出にくい歯科・歯医者|幸田歯科医院

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【小児矯正】RAMPA矯正(ランパ)とは?適応年齢・治療方法・期間・リスクを解説

RAMPA矯正って何?と思う方も多いのではないのでしょうか。あまり聞き馴染みのない矯正治療かと思います。

ここでは、「RAMPA矯正」について紹介いたしますので、矯正治療の選択肢の1つとして参考にして頂けると幸いです。

RAMPA矯正(ランパ)とは?適応年齢は何歳から何歳まで?

 
RAMPA矯正とは、

・骨格的にアプローチしていき、顎の骨(中顔面)を正しい方向に成長を促していく
・気道を確保し呼吸をしっかりできるようにする

この2つを目的とした矯正治療です。

中顔面の発育不全や骨格のズレがあることで、舌の位置が悪くなり気道を圧迫してしまいます。これによりしっかりと酸素を取り込むことができず集中力の低下や睡眠が浅くなるなどの症状が起こりやすくなります。

お子さんの健康的な成長に必要な正しい呼吸や睡眠の質の高めるためにも、根本的原因である中顔面(ちゅうがんめん)の発育不全や骨格的なズレを改善していくことが大切です。

RAMPA矯正は歯並びを整えていく矯正治療ではありませんが、中顔面の発育不全や骨格的なズレを改善していくことで、結果として歯並びや顔貌を良くすることができます。

小児矯正でも顎を拡げる治療はありますが、歯並びをキレイにする目的で治療を行います。小児矯正とRAMPA矯正では、治療目的(改善したいこと)が変わってきますので、よく理解をしておきましょう。

RAMPA矯正の適応年齢は「4〜8歳」がベストとされています。健康的な成長の妨げとなる原因を早く取り除いてあげることで、お子さんの成長をサポートしていくことができます。また、成長時期に合わせて矯正治療を行っていくことで、スムーズに治療を進めていくことができます。

大人の方でもできますが、12〜13歳くらいまでのお子さんに対して行うことの多い治療方法になります。

いくら早く治療を開始したいからといってもRAMPA矯正で使用する口腔外装置をしっかり使用できなければなりません。

お子さんの協力や親御さんのサポートが必要となってきますので、しっかりと話し合ってからRAMPA矯正治療を開始しましょう。

RAMPA矯正(ランパ)で改善が期待できる症状

 
RAMPA矯正は、上顎骨のズレやゆがみなど発育不全による受け口やガミースマイル(笑ったときに歯ぐきが目立つかみ合わせ)の治療に有効的です。

また、RAMPA矯正をすることで歯並びもキレイになっていきますが、顔貌もキレイになっていきます。横顔の改善は患者さんにも分かりやすい変化になると思います。

中顔面の発育不全がある方は、上顎(お口の中のスペース)が小さくなります。そのため、舌が正しい位置に収まるスペースがありません。舌が低位に落ち込んでいることで、気道を圧迫し呼吸がしにくい環境をつくることになります。

・口呼吸
・いびき
・姿勢
・集中できない(注意散漫)
・睡眠が浅い

などの症状も舌の位置や気道の圧迫が原因で起こる症状になります。中顔面の上前方方向への成長を促し改善することで、これらの症状も改善していくことができます。

あまり関係ないように思える症状も、RAMPA矯正治療をすることで改善することができます。何が原因になっているかを知り治療を行っていくことで、お子さんのより良い成長に繋がっていきます。

RAMPA矯正(ランパ)の治療方法

 
RAMPA矯正は、RAMPA矯正専用の口腔外装置と口腔内装置を使用して治療を行っていきます。

中顔面を上前方に引っ張るための口腔外の装置は、患者さんに合わせて装置を作製をしていきます。学校など外出時に使用することはなく、お家にいるときだけ使用してもらいます。
口腔外装置を1日12時間以上2〜3ヶ月の使用と口腔内装置での顎の拡大を行い治療を進めていきます

口腔外に大きな装置を装着しますので、個人差はありますが装着時の違和感・不快感は出てきやすくはなります。「寝にくい」「喋りにくい」と言われることもありますが、使用し続けていただければ装着したまま生活にも慣れてくることがほとんどです。

RAMPA矯正(ランパ)の治療期間

 
治療期間は、3〜4年くらいを目安にしてください。ただし、顎骨の矯正治療になりますので、お子さんの成長が終わる15〜16歳くらいまで経過をみていくようになります。

治療開始年齢やお子さんの成長具合によって矯正期間は変わってきますので、参考までにお考えください。

小児矯正と比べると治療期間は長くなりますが、アプローチしている部分や目的が違うためご理解いただきたいです。

RAMPA矯正(ランパ)のリスク

 
RAMPA矯正では、口腔外にくる装置が大きめになります。お子さんが1人で着脱できない・装置装着を嫌がるなどの問題が出てきます。また、矯正治療による痛みや違和感も出てきます。

矯正装置を使えなければ、治療がスムーズに進まず治療期間が長くなってしまいます。

「慣れてくれば、意外と大丈夫」「心配するほどではなかった」など患者さんによって感じ方もさまざまです。お子さんのやる気や協力を促し・寄り添い、親御さんしっかりサポートをしていただきたいと思います。

まとめ

 
RAMPA矯正は、中顔面の発育不全や骨格のズレに対してアプローチをしていくことで、舌の位置や気道の確保をしていき「呼吸」の改善をしていく治療方法になります。

歯並びを治す矯正治療を目的としていませんが、正しい成長発育を促すことで自然と歯並びや顔貌も良くなってきます。

鼻炎やいびきなど矯正治療とは関係なさそうな症状も舌の位置や呼吸が原因になっていることがあります。RAMPA矯正をすることでそのような症状も改善していくことができ、お子さんの健康的な成長を促し、守っていくことができます。

RAMPA矯正を含め、矯正治療にはさまざまな種類や方法があります。何が原因なのかを知り根本的な解決ができるように治療を選んでいきましょう。


【小児矯正】子供の反対咬合(受け口)の矯正治療はすべき?

結論:子供の反対咬合(受け口)は早めの治療がおすすめ

 
『反対咬合(受け口)』の矯正治療は早めがおすすめです。なぜなら、前歯だけ反対であれば、生え変わりのときに正常なかみ合わせになる可能性もありますが、反対咬合(受け口)のままにしておくと上顎の成長抑制や口腔悪習癖などの原因に繋がるからです。

正常のかみ合わせは、かみ合わせたときに上の歯が前になり、下の歯が後ろにきます。反対咬合(受け口)とは、上下のかみ合わせが反対になっている歯並びのことを指します。

かみ合わせが安定し確定してくるのが、乳歯列が完成する3歳前後になります。その際、反対咬合(受け口)になっている場合には早めに矯正治療を開始することを検討しておきましょう。

早めに改善しておくことで、より自然な成長を期待できたり変な癖がつかなかったりと悪い方向への流れを止めることができます。

子供の反対咬合(受け口)の症状について

 
反対咬合(受け口)になるとどんな問題が出てくるのかご存知でしょうか。「見た目の問題なら今矯正をしなくてもいいのでは?」と思う方もいらっしゃると思います。

しかし、反対咬合(受け口)の場合、下記の症状が出てくることがあります。

・食事がしにくい
・滑舌が悪い

舌を上手く動かすことができないために、食事のスピードが遅かったり丸呑みしていたり、硬いものを食べにくいから食べないなどの症状がみられます。

また、滑舌にも影響してくるため年齢が上がってきても聞き取りにくい発音になりやすいです。周りの子が発音できている言葉を発音できない・しにくいなどの症状がでてくると心配になってきますよね。

症状によっては習慣や癖によることもありますが、歯並びやかみ合わせが関係していることが多いです。その場合は、習慣や癖だけ改善していくのではなく矯正治療をし、原因を解決できるように治療を行っていくと良いでしょう。

反対咬合(受け口)の原因とは

 
「家族が反対咬合だと子どもも反対咬合になる?」
「だんだん下顎がしゃくれてきた気がするけど、なんで?」

など、なぜ反対咬合(受け口)になるのか知らない方も多いと思います。反対咬合(受け口)になる原因として、下記の3つが挙げられます。。

・両親からの遺伝
・舌や指しゃぶりなどの悪習癖
・下顎の発育過剰or上顎の発育不全

今、反対咬合(受け口)になっていなくても3つのうちどれかの原因がありそうな方はよく経過観察をしておきましょう。

それでは、それぞれの原因について簡単に説明もいたします。

両親からの遺伝

「顔が似ている」「背格好が同じ」など親子で似てくる部分があると思います。歯並びや骨格も親子で似てくることがあります。

親が反対咬合(受け口)だから子どもも反対咬合(受け口)になる訳ではないです。ですが、親が骨格的な反対咬合の場合には子どもが反対咬合になる確率は高くなります。

また、両親だけでなく祖父母や叔父や叔母までの3親等の中に反対咬合(受け口)の方が多いと同じようなかみ合わせになりやすいです。遺伝が原因になると、今すぐの治療が良いのか成長が止まってからの治療が良いのか悩むところです。

子どもが反対咬合(受け口)かなと思ったときには、遺伝的な原因がありそうか確認してみてください。

舌や指しゃぶりなどの悪習慣

習慣的な癖によって、反対咬合(受け口)になる方もいます。歯は、口周りの筋肉や舌の力のバランスがとれたところに並んでいきます。ですので、舌や指しゃぶりなどの癖が続くと、その癖によって歯は動いていきます。

低位舌

何もしていないときの舌の位置は、上顎にくっついているのが正常です。低位舌は、舌が下の前歯辺りに下がっている状態になります。

その場合、常に下の歯が舌に押されるため、上の歯よりも下の歯が拡がってきて反対咬合(受け口)になりやすいです。

舌突出癖

舌が前に出る癖を持っている方も低位舌と同じような力がかかります。舌突出癖は、話をするときや食事をするときに舌を前に出すような動きをします。

この癖は、母乳や哺乳瓶で飲む飲み方になり、赤ちゃんがよくする舌の動きになります。指しゃぶりやおしゃぶり、哺乳瓶などを長くしている場合になりやすいです。

舌の癖がある場合、歯並びにも影響がでてきますが、歯並び以外にも滑舌や食べ方にも影響が出やすいです。滑舌が悪いお子さんや食べるのが異常に早かったり遅かったりするお子さんに多い舌癖になります。

指しゃぶり

指しゃぶりによる舌癖も考えられますが、指の吸い方によっては下の歯に力がかかり指で前歯を押すことで下の歯が前に出ることも考えられます。

みなさんが思っている以上に普段の癖は歯並びに影響してきます。そのまま放っておくことで悪化する原因になりますので気をつけておきましょう。早めに癖を取り除くことで歯並びも改善してくることがありますので、歯医者で相談されると良いかと思います。

下顎の発育過剰 or 上顎の発育不全

上顎と下顎の成長バランスが悪く反対咬合になる場合があります。

・下顎の発育過剰→下顎が大きく成長した場合
・上顎の発育不全→上顎の成長がうまくいかなかった場合

どちらとも、上下の顎の成長のバランスが悪くなり起こります。

顎の成長は平均で上顎の成長の方は10〜12歳くらい、下顎の成長は13〜16歳くらいだと言われています。上下で発達時期が違いますので時期をみて判断していきましょう。

反対咬合(受け口)を放置するリスク

 
反対咬合(受け口)を放置しておくことで、下記のような症状が出てくることがあります。

・食事がしにくい
・滑舌が悪くなる
・顎が痛くなる

食事の仕方・飲み込み方や滑舌に関しては、習慣になっている部分も大きく大人になってから改善することが難しい場合もあります。

また、何となく普段の生活を送っていたとしても、徐々に何かしらの症状が出てくることが多いです。顎の痛みなどは、子供のうちにでてくることはあまりないでしょう。大人になってから、負担が大きくなり顎関節症になる場合があります。

このような症状を改善するためにも矯正治療が必要となります。

子供のうちに反対咬合(受け口)の矯正治療するべき理由

 
「反対咬合の矯正治療は早い方がいいと聞くけど、大人になってからだと遅いですか?」と聞かれることがあります。

反対咬合(受け口)でも、症例によっては「大人になってからやりましょうか」と言われることもありますが、基本は早い方が良いとされています。

・抜歯を避けれる
・悪習癖を改善できる
・骨格を改善できる

など、早く矯正治療をするからできることもあります。

小さいうちから矯正治療を始めると子どもの負担が心配になる親御さんもいらっしゃると思います。なぜ子どものうちに治療するのが良いのか順にお伝えしていきます。理由を知った上で矯正治療の時期を考えてみましょう。

抜歯を避けられる

反対咬合(受け口)の方の治療で多いのは、下の前から4番目の歯を抜いて治療をするという方針になりやすいです。永久歯列になっている場合には、もう成長がほとんど終わっていますので拡げて治療をするよりも抜いて出ている下の歯を引っ込めることで上下のバランスを整えていきます。

しかし、子どものうちから矯正治療を始めておくことで、以下のような治療を行うことができます。

・顎を拡げる
・顎の成長を抑制する

結果として、抜かなくても矯正治療を行うことができます。

抜歯矯正が悪いわけではなく、抜いた方がキレイになる治療計画になることもあります。だからといって、健康な歯を抜くことに抵抗がある方が多いと思います。

子どもから矯正治療を始めることで矯正治療の方法が増え、選択肢の幅が広がります。

悪習慣を改善できる

舌を含め、口周りの習慣を改善していくことができる。舌の癖は特に歯並びに影響しやすいですし、歯並びの影響により舌の癖がつくこともあります。

習慣や癖は、治したくてすぐ治せることではないです。今まで習慣や癖づいていたものを治していかないといけないため、かなり根気がいりますし、大人になってからは改善が難しいです。

まだ、習慣や癖づいて日の浅い子どもの方が改善しやすく治療が上手く進みやすくなります。

骨格を改善できる

1番大きなメリットは骨格にアプローチできるということです。顎の成長は15歳くらいまでに終わると言われています。それまでに骨を拡げるような矯正治療を行うことで骨格的なバランスを整えていくことができます。

反対咬合(受け口)の方は、見た目にコンプレックスを抱いている方も多いです。骨格的にアプローチをしていくことで、顔の見た目が変わってきます。顎が出ていたり引っ込んでいたりすることで、見た目とくに横顔の印象は変わってくるでしょう。

反対咬合(受け口)の小児矯正治療方法

 
子どもの反対咬合(受け口)を治療していく方法にはいくつかあります。また、現状の歯並び・かみ合わせによって変わってきます。

口腔内装置

お口の中に入れる装置にも色々種類があります。

悪習癖などを改善していくためのマウスピース型の装置

取り外しのできるマウスピースを使用し、お口周りの筋肉や唇・舌のバランスを整えていきます。

顎を拡げるためのワイヤー装置

固定式のワイヤーを使い歯や顎を拡げていきます。

前歯の並びを治していく表側のワイヤー装置

前歯の歯並び・かみ合わせを改善していくときに使用していきます。

口腔外装置

お口の中の装置にプラスして使用していきます。「こんなの使えるの?」「これで寝れるの?」と言われることも多いのですが、慣れてしまえば意外と使用していただけます。お子さんにとって邪魔になったり面倒になったりすることもありますが、親御さんのサポートもあることで順調に治療が進んでいきます。

これらの装置を必要に応じて使い分けていきます。検査・診断しないと分からないところもありますので、参考程度に考えていただけるといいかと思います。

小児矯正における反対咬合(受け口)の治療期間

 
「転勤があるから、治療期間が気になる」
「進学したら通いにくくなる」

など、矯正治療期間が気になりご相談いただくこともあります。

だいたいの治療期間は2〜3年になり、そのあと生え変わりを待つ期間や保定期間があります。

お子さんの歯並び・かみ合わせや骨格によって治療期間は変わってくるため、一概に「何年で終わります」と断言はできません。少なくとも2年はしっかり通えないと矯正治療の結果が上手くでないことが多いです。

お子さんのイベントや親御さんの転勤など、歯医者に通えなくなるリスクが分かっているときにはお伝えいただけると助かります。矯正治療を終えることができそうなのか、どのくらいまでならできそうなのかをお話しすることができます。

反対咬合(受け口)の小児矯正治療費用相場と保険適用について

 
矯正費用は、自費治療になることがほとんどですので、歯医者によって金額が変わってきます。

小児矯正(Ⅰ期治療)の費用は、200,000〜400,000円くらいが相場になります。検査費・調整費や装置によって費用が追加になるなど、歯医者によって追加でかかる費用がある場合がありますので確認をしておきましょう。

・どこまでを小児矯正(Ⅰ期治療)として行うのか
・追加の費用がかかるのかどうか
・Ⅰ期治療終了後しⅡ期治療へ移行するときの費用

この辺りの費用は、歯医者によって変わってきます。事前に聞いておくことで矯正治療トータルでの費用の見通しを立てやすいです。いくつかの歯医者を比べるときにも比較ポイントになると思います。

矯正治療は、自費治療になることがほとんどですが、保険適用になる場合もあります。

・「顎変形症」と診断され、外科手術が必要な矯正治療
・口唇口蓋裂やダウン症など厚生労働大臣が定める疾患が原因による矯正治療
・永久歯の前歯や小臼歯が3歯以上生えてこれず、埋伏歯開窓術が必要な矯正治療

この場合において、矯正治療を保険適用で行うことができます。

保険適用の矯正治療は、どこの歯医者でもできるわけではありません。厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関のみと定められています。

反対咬合(受け口)の方は「顎変形症」と診断され外科手術が必要な矯正治療と診断されることもあります。この場合には、矯正治療の時期などが大きく変わり、治療内容によっては小児矯正をしない場合もあります。

「子どものうちにしてあげたい」と思っている親御さんも多いと思います。ですが、適切な治療をし、お子さんの歯並び・かみ合わせがきちんと治る方法を選択していきましょう。
この保険適用の矯正治療については、実際に相談・診察してもらうときに聞いてみるといいかもしれません。

まとめ

 
反対咬合(受け口)のお子さんの治療は早めにやること下記のメリットがあります。

・抜歯矯正を避けられる
・悪習癖の改善ができる
・骨格の改善ができる

早めに治療を開始することで大人になってからの矯正治療では改善が難しい部分も治していくことができます。

お子さんの現状の歯並び・かみ合わせによっても矯正治療の開始時期は変わってきます。お子さんの成長度合いにもよりますので、定期的に歯並び・かみ合わせを診てもらっておくと安心です。

反対咬合(受け口)は、下顎の成長が止まるまでかみ合わせが変わりやすいです。だからといって、成長が止まるまで何もできない訳ではありません。少しでもかみ合わせが良くなるように、いい方向に向かうように矯正治療を早めすることもおすすめいたします。


急速拡大装置を使用した小児矯正|メリット・デメリットについて

急速拡大装置とは

 
みなさん「急速拡大装置」をご存知でしょうか?

急速拡大装置は、上顎の横幅を拡げるために使用する固定式の矯正装置になります。「急速」とついているように短期間で一気に拡げていくのが特徴です。


第1大臼歯(6歳臼歯)と第1小臼歯(前から4番目の歯)にバンドをつけ、真ん中にある拡大ネジを回すことで拡げていく矯正装置です。

急速拡大装置は、歯を動かす矯正装置ではなく、上顎の骨を拡げ上顎の横幅を拡げていきます。

上顎は、左右の上顎の骨がくっついて1つになっています。真ん中に正中口蓋縫合というつなぎ目の線があります。この上顎の繋ぎ目で拡げていくことで骨と骨を離し、上顎を拡げていきます。拡がった後は自然に新しく骨ができ上顎が繋がるのを待ちます。

急速拡大装置は、上顎が狭い方や交叉咬合の方に使用していく矯正装置になります。患者さんの歯並び・咬み合わせに合わせて急速拡大装置を使用することで、とても良い矯正治療をすることができます。

急速拡大装置の対象年齢

 
上顎の正中口蓋縫合(せいちゅうこうがいほうごう)がくっつく時期が10歳前後で、顎の成長が終わる時期が15歳前後だと言われています。ですので、1番いい時期としては、10〜15歳までに行うことで自然な成長時期に合わせて上顎を拡げることができ理想的です。

しかし、15歳以上の方が使わない矯正装置ではないです。大人になってからの矯正治療でも使用する装置になります。骨を拡げていく矯正装置ですので、骨の状態や年齢によっては使用を避けることがあります。
「この年齢まで」と矯正装置の対象年齢がある訳ではないですが、30歳くらいを境に使用しない選択をされることが多いです。患者さんの歯並び・かみ合わせ、急速拡大装置のメリット・デメリットをお話させていただいた上で治療を行っていきます。

急速拡大装置のメリット

 

後戻りが少ない

顎を拡げて矯正していきますので、後戻りが起こることはほとんどありません。

抜歯矯正をしなくてもよい可能性でてくる

急速拡大装置は、顎を拡げることでスペースをつくってあげ、歯を並べていきます。上下の顎のアンバランスを改善していくため、顎の歯を抜かなくても矯正治療を行うことができます。

鼻腔が拡がり鼻通りが良くなる

上顎を拡げることで鼻腔が拡がるため、鼻呼吸がしやすくなります。口呼吸から鼻呼吸への改善をしていくことができます。

急速拡大装置のデメリット

 

痛みが伴う

骨を拡げてますので、それなりに痛みが出てきます。装置を装着してから3〜4日は特に痛みや違和感が出やすくなります。
また、装置の違和感も大きいため発音しづらくなることもあります。慣れてくるまで多少我慢が必要でしょう。

顔貌が変わる

上顎を広げるため、目の間隔や鼻周りの感じに変化が出てきます。見た目の変化が出てきますので、矯正治療する前によく話し合い確認しておきましょう。

急速拡大装置の使用期間

 
急速拡大装置は「急速」とあるように短期間で顎を拡げていきます。顎を拡げる期間は、2週間〜3週間くらいになります。
拡げた後にすぐ装置を外してしまうと後戻りを起こしますので、顎の骨がしっかりくっつくまでの間は装置をつけたままにしておきます。
急速拡大装置をつけておく期間としては、6ヶ月〜1年くらいだと考えておきましょう。

急速拡大装置の使用上の注意

 
急速拡大装置の使用の際に注意することがいくつかあります。

急速拡大装置は上顎に大きい装置がつきます。装置と上顎の間には隙間ができ、食べ物が詰まりやすいため口腔管理をしっかりしていかないといけません。ものが詰まることによる歯肉炎になると痛みが出ることもあります。装置に合わせて歯磨きの仕方を歯医者で教えてもらい実践していきましょう。

上顎を拡げていくことによって、上の前歯に隙間ができることがあります。しかし、失敗ではなく矯正治療の途中経過ですのでご安心ください。

まとめ

 
急速拡大装置は、上顎を拡げていくための矯正装置です。

・後戻りのしにくさ
・矯正期間の短さ
・歯を抜かない矯正治療ができる
・鼻腔が拡がり、鼻呼吸がしやすくなる

などのたくさんのメリットがあります。

デメリットとしては、短期間で顎を拡げていくため、装置の違和感や痛みが出てきやすい矯正治療になります。矯正期間中、柔らかい食事に変えたり痛み止めを飲んだりして過ごすようになるかもしれません。

また、顎を拡げるため顔貌に変化が出てきます。顎を6mm以上拡げますので、顎を拡げることで顔が大きくなったように感じるかもしれません。顔が大きくなり不自然に見えないように矯正治療を行っていきますが、矯正前の方が良かったとならないように矯正治療を進めていく必要があります。

メリットやデメリットがあり、よく理解をした上で急速拡大装置での矯正治療をしていきましょう。


子どもの歯並矯正装置の種類|1期治療・2期治療の小児矯正

1期治療・2期治療の小児矯正について

 

お子さんの矯正治療には「1期治療」と「2期治療」の2段階あるのですが、ご存じでしょうか?お子さん歯並びや矯正を始める時期によって治療の仕方が変わってきます。

1期治療は、お子さんの骨の成長を利用していく治療です。上下の顎のバランスを整えるように矯正を行い、咬み合わせを安定させていきます。イメージとしては、歯がキレイに並ぶ土台をつくってあげるのが1期治療だと思ってください。
お子さんの歯並びの状況や歯の生え変わりの時期によって、矯正治療を開始する年齢は変わってきます。早いお子さんですと4歳くらいから矯正治療を始めることもあります。
一概に「何歳から矯正治療を始めるといい」とは決まっていません。成長には個人差もあり、お子さんの協力度なども考えながら矯正治療を開始する時期を決めていくことになります。

2期治療は、生え揃っている歯をキレイな歯並びになるように動かしていく治療です。永久歯が全て生え揃ってから始める治療で、大人の矯正治療と同じ治療方法になります。1期治療で土台を整え、2期治療で歯を並べていくという流れになります。
2期治療は、前から7番目の歯(12歳臼歯)が生え揃う中学生ごろから矯正治療を開始していきます。
1期治療で土台づくりをしていると2期治療の期間がスムーズに進むため、2期治療が短期間で終わることが多いです。また、1期治療を行うことで歯を抜いたり削ったりしなくても矯正治療を行うことができます。

小児矯正は1期治療~2期治療まであり、トータルの矯正治療期間は2期治療(大人の矯正治療)だけ行うよりも長いです。しかし、治療方法や使用する装置など「子どもだからできる」選択肢も増えます。
小児矯正を開始する時期はお子さんによって変わってきます。歯並びが気になったときに1度、歯医者に相談することをおすすめいたします。

小児矯正(1期治療)で使用する装置の種類

 
小児矯正で使用する装置には、たくさんの種類があります。お子さんの咬み合わせや歯並びの状況に応じて使い分けていきます。
1つだけ使うこともあれば、いくつかの装置を組み合わせて矯正治療を行っていくこともあります。

・小児矯正で使用する矯正装置には3種類あります。
・可撤式(かてつしき)矯正装置
・固定式矯正装置
・顎外固定装置

大人の矯正装置は何となく分かる方も多いとは思いますが、小児の矯正装置は知らないという方も多いと思います。
それぞれの装置がどんな装置なのか、特徴についてお話していきます。

可撤式矯正装置

可撤式(かてつしき)矯正装置とは、プレートタイプやマウスピースタイプなどの取り外しのできる矯正装置のことを指します。

可撤式矯正装置の良いところは、装置を取り外すことができるため食事や歯磨きは今までと同じように行うことができます。そのため、矯正装置が入っても虫歯のリスクが高くなることはないでしょう。
可撤式矯正装置の難しいところは、お子さんと親御さんの協力がとても重要になってくるところです。矯正装置を使わないと歯並びは治りませんし、矯正装置の管理ができないと壊れたり失くしたりということも考えられます。

お子さんの負担なども考えると取り外しができるメリットは大きいと思います。お子さんの性格や親御さんの手間なども考えながら選択してみてください。

固定式矯正装置

固定式矯正装置とは、歯に矯正器具をつけてしまい、お家では取り外すことのできない矯正装置です。歯医者で専用の器具を使い、取り外しをしていきます。

矯正装置を入れたときは、多少違和感があるでしょう。しかし、だんだんとお口の中に矯正装置が入ってても違和感がなくなってきますので、ご安心ください。
可撤式矯正装置とは違い、歯に固定をしていますので「矯正装置が使えなくて治らない」ということはないです。
デメリットとしては、矯正装置の不具合があっても取り外しができないため、その都度歯医者に来院していただくことになります。また、食べ物が挟まりやすくなったり歯磨きがしにくくなったりします。虫歯にならないように気をつけておく必要があります。

顎外固定装置

顎外固定装置は、お口の外につける矯正装置になります。
1日12時間以上の使用を目標とし、お家にいる時間や夜間寝ている間に使用していただきます。お口の外に矯正装置がついたまま寝ていただくようになります。
慣れるまでの違和感や夏場の汗・蒸れなどの対策など色々な問題がでてきやすい矯正装置です。親御さんにもお子さんのモチベーションや装置の着脱などのサポートをお願いいたします。

小児矯正(1期治療)で使用する可撤式矯正装置

 
可撤式矯正装置といってもたくさんの種類があります。歯を動かす装置もありますが、機能的矯正装置と言って、上下の顎のバランスを整えていくように成長を促す矯正装置もあります。それぞれの特徴について説明していきます。

拡大床

拡大床は、歯列を拡げるための矯正装置です。歯が並ぶスペースが足りない歯列の方に使用していきます。
床と呼ばれるプレートの真ん中にネジが埋め込まれています。そのネジを1~2週間に1回まわし、プレートを拡げていきます。

バイオネーター

バイオネーターは上下がくっついている床矯正装置です。機能的矯正装置とも言われ、歯を動かすのではなく筋肉の動きを利用することで下顎の成長を促す矯正装置になります。下顎の成長が小さく、上下のバランスが悪い場合に使用していきます。下顎が成長をする6~13歳くらいで使用していきます。

リップバンパー

下唇の力が強い方や噛んでる方は、下の前歯が内側に倒れてきます。下の歯と下唇の間にリップバンパーを入れることで下の歯に必要以上の力がかからないようになります。

ツインブロック

ツインブロックは、上下に分かれている床矯正装置です。機能的矯正装置の1つで、ツインブロックを入れて咬み合わせると下顎が前にズレるような傾斜がついています。
バイオネーターと同じような効果が期待され、上下のバランスを整えるための矯正装置になります。

ムーシールド

ムーシールドは受け口に使用するマウスピース型の矯正装置になります。3歳から使用することができ、早期治療が可能な矯正装置です。
上顎を前に、下顎を後ろに下げるような咬合誘導が行われます。また、お口周りの筋肉や舌の癖なども整えてくれる矯正装置です。

F.K.O(アクチバトール)

F.K.O(エフカーオー)は、上下がくっついている矯正装置です。機能的矯正装置で、上下の顎のアンバランスなどを筋肉の働きを利用し、バランスを整え成長を促していく効果があります。

マウスピース矯正「インビザラインファースト」

「インビザライン」というカスタムメイド型のマウスピースの矯正装置を使用した治療方法です。インビザラインファーストは、乳歯と永久歯が混在している混合歯列期の治療で使用できます。
とにかく見た目が目立たない矯正装置です。ワイヤーなどもないため、スポーツなどの制限もありません。
いろいろな歯並び・咬み合わせに対応している矯正装置ですので、極端に難しい症例ではない限りどの患者さんでも選択できる矯正装置です。

トレーナーマウスピース

お口周りの筋肉のバランスや舌の癖などによって、歯並び・咬み合わせに影響してきていることがあります。その筋肉のバランスを整え、舌の正しい使い方を習得することで歯並び・咬み合わせを良くしていくのが、トレーナーと呼ばれるマウスピースです。
この矯正装置は、使用するだけではなく舌の使い方や呼吸の仕方などのトレーニングを合わせて行っていきます。

小児矯正(1期治療)で使用する固定式矯正装置

 
固定式矯正装置は、お口の中に固定してしまうため自分では取り外しができません。ワイヤーの力によって、歯や顎全体を拡げていく力をかけていきます。可撤式矯正装置に比べると痛みを感じやすくなります。

クワドヘリックス

クワドヘリックスは、ワイヤーのバネの力を利用して歯列の横幅を拡げていく矯正装置です。歯の裏側にワイヤーがくるため、気になって舌で触っていると舌が痛くなることがあります。

(GMD・ペンデュラム・クワドヘリックス)

GMD・ペンギュラムは、6歳臼歯(第1歳臼歯)を後ろに移動させる矯正装置です。歯を傾斜させずに後ろに移動させることができます。移動させた後は、装置を変更し、手前の歯も順番に後ろに移動させていきます。
この矯正治療を行うことで、抜歯矯正を回避できることが多いです。

急速拡大装置

急速拡大装置は、歯列の横幅を拡大していく力をかける矯正装置です。プレートタイプの拡大床は徐々に拡げていくのに対し、この矯正装置は「急速」とついているように短期間で大きく拡げていきます。
上顎は、右と左の2枚の骨がくっついてできています。急速に拡大することで2枚の骨を離し顎を拡げ、その隙間に新しい骨がつくられることで顎を大きくしていきます。
拡大する期間は短いのですが、骨ができるまで固定をしておかないといけないため、装置は数か月~1年くらいは入れたままになります。

リンガルアーチ

リンガルアーチは、前歯を押す力をかけることができる矯正装置です。また、歯列の大きさを保つためにも使用されることがあります。

タングガード

タングガードと名前にあるように舌をガードする矯正装置です。
舌の癖があり、飲み込みや喋るときに舌が前に出てしまい、前歯の噛み合わせが開いて開口と呼ばれる咬み合わせになります。開口の方によく使用する装置で、上の前歯の後ろあたりに舌が前に出ないように柵や突起がつけてあります。

2☓4(ツーバイフォー)や2☓6(ツーバイシックス)

前歯のみに大人の矯正治療で使用するブラケットをはり、前歯のガタガタやすきっ歯・前歯を前後に動かしたいときに使用していく矯正装置です。
歯を1本1本動かせるため、捻じれている歯や歯の傾きなどの調整をおこなうこともできます。

小児矯正(1期治療)で使用する顎外固定装置

 
上下の顎のアンバランスが原因で咬み合わせが悪い場合には、上下の顎のバランスが良くなるように矯正治療を行っていきます。お口の外(頭や首など)に固定をおき、顎の成長抑制や促進・歯を動かす力をかけていきます。

上顎前方牽引装置

おでこと顎に固定を置いたフェイスマスクのフックと口腔内の装置についているフックにゴムをかけることで、上顎を前に引っ張る力がかかる矯正装置です。

チンキャップ

受け口の方に使用する矯正装置です。下顎が前に出ないように成長の抑制を行います。く上
この矯正装置単体で使うことはあまりなく、上顎にリンガルアーチを入れて使用しチンキャップと併用していきます。これにより上は前へ下は後ろへ力をかけ咬み合わせを改善していきます。

ヘッドギア

ヘッドギアは、子どもの成長期に使用することで上顎の成長抑制を期待する矯正装置です。また、上顎の奥歯を後ろに動かすこともできます。

小児矯正(2期治療)で使用する矯正装置

 
2期治療は、大人の矯正治療と同じ治療になります。1期治療で土台の矯正治療を行い、2期治療ではワイヤーの矯正かマウスピースの矯正で仕上げの矯正治療を行っていきます。

ワイヤー矯正(表側矯正)

歯の表側にブラケットと呼ばれる矯正装置をつけ、ワイヤーの力で歯を1本1本動かし歯並びをキレイにしていきます。

ワイヤー矯正(裏側矯正)

歯の裏側に矯正装置をつけ治療を行っていきます。矯正装置が見えないため、見た目に気にならない矯正装置です。歯の裏側に矯正装置がついているため、舌に当たりやすくなるのがデメリットになります。

マウスピース矯正

マウスピースを1~2週間に1回交換することで、歯を少しずつ動かして歯並びをキレイにしていきます。ワイヤー矯正に比べ痛みが少なく、見た目にも矯正していると分からない矯正装置になります。
自己管理が必要にはなってきますが、マウスピースの着脱や管理が難しいわけではありませんので安心してお使いいただけます。

まとめ<

 
小児矯正には、たくさんの種類があります。「絶対にこれがおすすめ!」という治療方法は
ありません。
顎を拡げたり成長を促しバランスを整えたりする矯正治療は、成長期の時期に行うからこそ効果が出やすい矯正装置です。小児矯正は、大人の矯正治療では使えない矯正装置もあり、治療の選択肢が増え、様々な可能性があるのがメリットだと言えます。
歯医者によって使用する矯正装置は変わってきますし、お子さんによって向き不向きもあります。たくさんある矯正装置の中でお子さんに合わせて矯正装置を選択していくことがスムーズに治療を進めていくための1つのポイントです。
まずは、お子さんの歯並び・咬み合わせの現状とそんな治療方法になりそうなのか知っていくことが大切です。ぜひ一度、歯医者に相談してみてください。


小児矯正を1期治療でやめるとどうなる?1期治療で終了でも良い条件とは?

矯正について調べてみると「1期治療」「2期治療」と出てくると思います。小児矯正では、治療が1期治療と2期治療の2段階に分けられます。
 
1期治療は、乳歯(子どもの歯)から永久歯(大人の歯)に生え変わるまでの間にする矯正治療です。
2期治療は、全て永久歯に生え変わった後に行う矯正治療です。大人の方が行う矯正治療と同じになります。
 
小児矯正と言っても、みなさんが最終的にキレイな歯並びにしたいのは「乳歯」ではなく「永久歯」だと思います。そのため、「それなら、2期治療だけでもいいのでは?」と思う方もいらっしゃると思います。

もちろん、2期治療だけでも矯正治療はできますが、1期治療の時期だからできる矯正治療というのもあります。

まずは「1期治療では、どのような矯正治療を行っていくのか」、1期治療の目的についてお伝えしていきます。

小児矯正の1期治療とは?

 
1期治療とは、歯をキレイに並べる矯正治療ではなく、歯並びが悪くなる原因を取り除く矯正治療になります。
 
・顎の骨のバランスを整える
・歯が生えるスペースをつくる
・お口周りの癖を取り除く
 
といった「歯を並べるための土台作り」を行っていく矯正治療です。

お子さんの上下の咬み合わせや顎のバランスをみながら、顎の成長を促すような矯正装置を使うこともあります。顎の成長を促す治療は、子どもの成長期だから期待できる効果です。また、咬み合わせなどの変化にも適応しやすいため、大人に比べると治療の負担は少ないかと思います。

他にも指吸いや舌の癖、お口が閉じているかなど、普段の生活での癖や習慣によって歯並びに影響してくることがあります。こういった歯並びや顎の成長に悪影響を及ぼす癖や習慣を「口腔悪習癖」と言います。悪影響が出てくる前に癖や習慣を改善していくことも1期治療の役割です。

では、なぜ「1期治療をして土台作りをすることで何が良いの?」となるのではないでしょうか。1期治療をするメリットとしては以下の2つが挙げられます。
 
・顎のバランスを整えることができる
・抜歯矯正の可能性が低くなる
 
咬み合わせが悪いことで顎関節症になったり、歯にダメージがいき、歯周病が進行しやすかったりします。顎のバランスを整えることで、咬み合わせを安定させることができ、大人に なってからの病気を予防することができます。

また、顎を拡げてあげることで歯が並ぶスペースをつくることができ、歯を抜かなくても矯正ができます。

1期治療だからできる治療になるため、2期治療では同じ治療ができないことがあります。子どものうちにできる治療は治療できる時期が決まっています。遅すぎるとできない治療になりますので、早めに小児矯正について考えておきましょう。

小児矯正を1期治療でやめるとどうなる?

 
「1期治療を始めると2期治療は絶対しないといけないですか?」と聞かれることがあります。矯正治療は矯正期間も長く、自費治療となり料金もかかります。矯正させてあげたいけど「1期治療だけでやめたいな」とご要望の親御さんも多くいらっしゃいます。

前提として、矯正治療は1期治療〜2期治療という流れで治療を行っていきますので、1期治療だけでなく2期治療までのトータルで矯正治療を考えていきます。ですので「1期治療だけで矯正治療が終わります」とお約束はできませんが、1期治療だけで矯正治療を終了される方もいらっしゃいます。

1期治療だけで矯正治療をやめた場合は、完璧な歯並びではなく歯並びの完成度が70%くらいになります。「なんとなくきれいに並んでいる」「咬み合わせが安定している」くらいまでの矯正治療はできるでしょう。

また、1期治療で矯正治療を終了すると見た目の歯並びが70%くらいの仕上がりになります。元の歯並びや咬み合わせの状態によっては、矯正治療をした歯並びに見えないこともあります。あくまで1期治療は「土台作りの矯正治療」となるため、きれいな歯並びまでもっていくことは難しいと考えましょう。

1期治療と2期治療で目的が異なるため、両方の治療を受けることが推奨

 
1期治療では、顎のバランスを整えるなどの歯が生えるスペースをつっていく土台作りを行っていきます。そして、2期治療で歯並びをきれいに並べていきます。矯正治療の目的が違うため、1期治療〜2期治療までトータルで矯正治療を行っていくことをおすすめします。

せっかく1期治療で土台作りをしたのに2期治療をしなくて歯がガタガタ・八重歯などの歯並びのままになります。「それでも始めた時に比べると良いですよね」となることが多いです。
きれいな歯並びは、お口の中の自己管理しやすくなり虫歯や歯周病になりにくくなるメリットがあります。小さい頃から歯医者に通っていただき歯磨き指導など予防や管理について知っていただいているからこそ、もっと病気にならないようにしてもらいたいと思っています。

若いうちには気にならない歯周病も大人になってくるとほとんどの方が罹患している病気になります。口腔環境を良い状態で保っていくには、自己管理しやすい環境を作っていくことがその1つだと思います。歯並びだけ、今の状況だけを考えるのではなく、今後のことについても考えてみてください。

患者さんの長い人生を考え、トータルでの矯正治療をおすすめしております。

1期治療で途中終了でも良い条件とは?

 
1期治療がうまくいき、歯並びが悪くない場合には、1期治療で矯正治療を終了できる方もいらっしゃいます。
 
・骨格的な問題がある
・歯が埋まっているなどの異常がある
・生えてきた歯の向きが違う、捻じれなどがある
 
などの問題がある場合は2期治療まで行うことがほとんどです。しかし、このような問題がない場合は、1期治療で終了することができます。

先程も言ったように、完璧な歯並びにはならないですが、咬み合わせ・歯並びが70%くらいの完成度になります。しかし、食事をしたり喋ったりと生活する上で困ることはないでしょう。

1期治療での完成度・2期治療までやる完成度について、メリット・デメリットなどのお子さんの歯並びによって変わってきます。1期治療までで矯正治療が終了できるのか、担当の歯科医師と相談してみてください。

1期治療後、期間を空けて2期治療に取り組むことはできる?

 
「1期治療が終了した後すぐに2期治療を始めないといけませんか?」とお問い合わせいただくことがあります。

1期治療後、期間を空けて2期治療を行うことはできます。2期治療は大人の矯正治療と同じ治療になりますので、いつからでも開始できます。

1期治療が終了する時期が、12歳前後になります。(歯の生え変わりや顎の成長によっても変わってきます)中学校に進学による環境の変化・お子さんの精神的な成長など色々な変化が起こります。通院ができなくなる・子どものモチベーションがなく非協力になることも考えられます。この時期に2期治療を行うことが難しい方もいらっしゃいます。

高校生や大学生になってから2期治療を開始される方も多く、1期治療後から3〜6年後からでも2期治療はできます。2期治療の期間によっては、学校の進学などで通院ができるのかをよく考えておく必要があります。いつでも始めることはできますが、ライフイベントなどを考え2期治療の時期を決めてください。

いつでも再開できるとは言いましたが、矯正治療をするのであれば早いうちが良いです。「若いうちの方が怪我の治りが良い」と言いますよね。

骨の中に埋まっている歯を動かして矯正治療を行っていきます。矯正治療の治りや予後は、年齢とともに悪くなりやすいです。30代で矯正治療をするより10代で矯正治療を行う方が治りが良いとされています。

「いつか2期治療をしようかな」と考えているのであれば、早めに2期治療を開始した方が良いでしょう。

まとめ

 
小児矯正は、1期治療と2期治療の2段階あります。

1期治療で顎のバランス・咬み合わせを整え、癖や習慣などの改善を行なっていきます。歯を並べるというよりも歯並びが良くなるための土台作りの役割です。2期治療できれいな歯並びにしていくための矯正治療を行なっていきます。

1期治療から2期治療までトータルで治療を行なっていくことで、きれいな歯並び・咬み合わせを目指していきます。

1期治療だけの矯正治療ですと70%くらいの歯並びになります。歯並びや咬み合わせ・お子さんや親御さんのご要望に応じて、1期治療で終了することもあります。

歯医者としては、きれいな歯並びを目指すのであれば1期治療から2期治療までトータルで矯正治療を行うことをおすすめいたします。

1期治療を終了して2期治療を継続していなかった場合でも歯並びが気になったタイミングで2期治療を開始することもできます。

2期治療は1期治療後すぐに開始しないといけない治療ではないため、2期治療の開始時期については担当の歯科医師と相談して決めていきましょう。