2022/10/21
「子供の矯正治療と大人の矯正治療はどう違うの?」「矯正治療は、いつ始めても同じ治療方法?」など、矯正治療について何となくのイメージしかなく「実際のところよく分からない」なんて方も多いのではないでしょうか?
小児矯正は「1期治療」と「2期治療」の二段階に分けることができます。それぞれの治療について説明していきますね。
1期治療は、乳歯と永久歯が混在した「混合歯列期」に行う矯正治療です。永久歯の大きさやスペース不足などの現状の把握と今後の予測をしながら行う矯正治療を行っていきます。
子供の成長を利用し上下の顎のバランスを整え、歯並びや咬み合わせが良くなるように誘導してあげる「咬合誘導」という治療になります。
小児矯正は「歯を動かす治療」よりも「口の周りの骨や筋肉のバランスを整える治療」がメインとなってきます。
2期治療は、永久歯が生え揃った後に開始する矯正治療です。いわゆる「大人の矯正治療」になります。歯を1本1本動かし、キレイな歯並びになるように矯正を行っていきます。
成長が終わっていることもあり、顎を拡大することが難しい場合には歯を抜いてスペースをつくることがあります。
「子供の矯正は、いつ始めるのがいいのだろうか?」「子供の矯正治療はどのくらいの期間になる?」など、治療の開始時期や治療期間について気になる方も多いと思います。
小児矯正は、歯並びや咬み合わせ・顎の大きさなどによって矯正治療開始時期が変わってきます。また、治療期間は1期治療・2期治療だけ矯正治療を行うのか、両方の治療を行うのかによって治療期間が違ってきます。
それぞれ、いつ始めると良いのか、どのくらいの期間がかかるのかお伝えしていきます。矯正治療の目安にして、考えてみてください。
1期治療の矯正開始時期は、上下の前歯4本が永久歯に生え変わった時期を目安にします。平均的な生え変わりの時期だと8〜9歳くらい(2〜3年生)だと思ってください。
1期治療を開始し、歯並びや咬み合わせが改善・安定したら矯正が終わるわけではありません。矯正治療の最終的なゴール目標は、永久歯の歯並びと咬み合わせが良くなることです。永久歯に生え変わりが完了するまで治療を行うことになります。
永久歯に生え変わるのが、12〜13歳くらいになります。8歳から始めると4〜5年の矯正期間がかかります。
1期治療では、歯をキレイに並べる治療よりも咬み合わせや上下の顎のバランスなど不正咬合の治療を行っていきます。そのため、歯の傾きや捻じれなどを改善するためには歯を1本1本動かす2期治療が必要になってきます。
矯正期間としては、1期治療の4〜5年+2期治療の1〜2年になるでしょう。小学生から矯正治療を始め、中学生くらいまで矯正治療がかかります。
2期治療は、永久歯の矯正治療になります。永久歯に生えかわっていれば矯正治療を始めることができます。12歳前後で奥歯が生えかけの場合などは、状況によって完全に歯が生えるのを待つこともあります。
2期治療の矯正期間は、2〜3年くらいです。1期治療よりも治療期間は短くなります。顎の大きさや生えている歯が変わることはないため、1期治療のように生え変わりを待つ期間などなく、スムーズに治療を進めることができます。
しかし、1期治療のように顎を拡げる治療ができない場合もあり、歯を抜かないといけないこともあります。1期治療の方が、治療方法や手段が多いと言えるでしょう。
「1期治療をした方がいいの?」「2期治療からでも矯正できる?」
と子供の負担なども考え「矯正治療をいつから始めようか…」と悩まれている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
矯正治療は、ほとんどの場合1期治療でも2期治療でも歯並びを治すことができます。しかし、1期治療でできる矯正治療と2期治療でする矯正治療では、治療内容や矯正器具などが変わってきます。
1期治療では、
・口腔悪習癖の改善
・歯を抜かない矯正治療
・顎を拡げるなどの成長を利用した治療
・子供のうちからの虫歯予防
のメリットがあります。咬み合わせの安定や機能的な改善をしていくには、早めの矯正治療が良いと考えております。大人になってからの治療では改善が難しいものもあり、1期治療だからできる矯正治療になります。
子供の矯正を考えている方は、1期治療のメリットや1期治療をやる意味について知っていただければと思います。
「口腔悪習癖」という言葉を聞いたことはありますか?
口腔悪習癖とは、
・お口がポカーンと開いている
・指しゃぶり
・口唇を噛む
・舌癖
など、口の周りを含めた歯並びに影響する悪い「癖」のことを指します。口腔悪習癖があることで、その「癖」特有の口元になり歯並びが悪くなることがあります。
口腔悪習癖があっても矯正治療を行うことはできます。しかし、矯正してきれいな歯並びになっても口腔悪習癖が続いているため、後戻りしやすくなり矯正前の歯並びに戻ることもあります。
大人になってから今までしていた癖を取ろうと思っても、なかなか癖をなくすことができず改善が難しいです。1期治療で口腔悪習癖を改善することで歯の生え変わり前に癖がなくなり、永久歯が良い位置に生えてきてくれる期待も持てます。
そのため、口腔悪習癖を治すには1期治療のように子供の早いうちに介入をすることをおすすめしております。
「できるだけ、歯を抜かずに矯正を行いたい」とお考えの方も多いのではないでしょうか?1期治療から矯正治療を行うと歯を抜かずに矯正治療を行うことができるかもしれません。
顎が小さく歯が並ぶスペースがない場合などには、歯が並ぶスペースをつくってあげる必要があります。その場合、選択肢の1つとして「顎を拡げる」治療があります。
骨が成長している時期に合わせて顎を拡げてあげることで、顎の成長を促進させるような力が加わり顎が拡がっていきます。顎を拡げてあげることで、歯を抜かずに矯正を行う選択肢をつくることができます。1期治療を行うことで、成長を利用する矯正治療を行うことができます。
※症例によっては、抜歯が必要な場合もあります。
1期治療は成長を利用した矯正治療を行うため、ある程度の顎骨のコントロールをすることができます。歯を並べるだけではなく、顎のバランスを整えることで咬み合わせの安定を図ることができるのが特徴です。小児矯正だから期待できることの1つになります。
矯正治療は、歯並びをキレイにする目的で行うことが多いですが「虫歯予防」にも繋がっていきます。
歯並びが悪いとセルフケアが難しく、虫歯になりやすい環境ができやすくなります。歯並びをキレイにすることでセルフケアをしやすくなります。また、矯正治療通院中に歯磨き指導などを受けるためセルフケアが上手になり、口腔内環境を良い状態に保つことができます。
「小児矯正はいくらかかるの?」と矯正費用が気になりますよね。矯正を始める前にどのくらい費用がかかるのか把握しておきたいという方もいらっしゃると思います。
矯正費用は医院によって変わってきます。どのくらい費用がかかるのか、平均的な矯正費用についてお伝えしていきます。
矯正治療をする前には、
①レントゲンや歯型などの資料取りをする精密検査
②検査を元に立てた治療計画をご説明する診断
の流れになります。
検査・診断の費用は、20,000〜50,000円くらいになります。
医院によっては、検査料と診断料が別々の場合もあるので確認をしておきましょう。
矯正費用は高いイメージをもたれている方も多いのではないでしょうか?
小児矯正は1期治療と2期治療の二段階に分かれており、それぞれ金額を設定している医院が多いです。それぞれの費用についてみていきましょう。
1期治療の費用は、200,000〜500,000円くらいになります。
1期治療は、子供の成長を利用し顎を拡げるなどの顎のバランスや咬み合わせを改善していく矯正治療になります。子供の成長に合わせて、治療途中で矯正装置を作り変えることもあるでしょう。支払いのパターンとしては、装置ごとに追加で支払うか最初の矯正代に全て含まれているかの2パターンです。
どちらにしても、トータルの費用の相場は変わらないでしょう。
2期治療は、永久歯が生えそろってからの矯正治療になります。
1期治療をしてからの2期治療の場合は400,000〜600,000円くらいで、2期治療からの場合は800,000〜1,100,000円くらいになります。矯正治療の費用は、トータルで1,000,000円くらいが1つの目安となるでしょう。
・表側のワイヤー矯正
・裏側のワイヤー矯正
・マウスピース矯正
など矯正装置にもいくつか種類があります。矯正装置によっても費用が変わっていきますので、しっかり確認しておきましょう。
「矯正費用は、矯正装置代だけ?」と思われている方もいらっしゃいますが、矯正治療をした後には、後戻り防止のために「保定装置」を入れておくことが多いです。
また、矯正治療が終わった後に保定装置の確認や歯並びの状態の確認などで数か月に1回通院が必要になることがあります。
この保定装置代や保定観察料は、最初の矯正費用に含まれている医院もあれば、別途費用がかかる医院もあります。医院に確認しておきましょう。
1期治療後に保定装置を入れておくかは、歯並びや2期治療をするかどうかによって変わってきます。
1期治療のみの場合は、後戻りや歯の萌出によって歯が動くのを防ぐために保定装置を入れることがほとんどです。2期治療への移行になる場合には、1期治療終了後に保定装置を入れないことも多いです。
保定観察とは、矯正治療が終った後に定期的に歯医者に来院し、経過観察を行うことです。矯正治療後の歯並びの後戻りをしていないかの確認や虫歯のチェック・虫歯予防・歯磨き指導なども行っていきます。少しでも歯やお口に興味をもち自己管理していけるように歯医者で指導を行っていきます。
1期治療後は、歯の交換期の場合もあり歯の生え方の確認も行いつつ、2期治療への移行のタイミングになるまで観察をしていきます。
2期治療の保定装置は必ず行うことが多いです。2期治療は次の治療へ移行することもないですし、後戻りの可能性が高いため矯正治療終了後には保定装置をすることになります。
保定装置にはいくつか種類があり、保定装置は患者さんに合わせて選択していきます。前歯の裏側にワイヤーをつけ、夜は取り外しの装置を使うなどのように必要に応じて保定装置を2種類使うこともあります。
保定装置をサボっていると保定装置がハマらなくなったり、後戻りを起こしたりします。歯科医院で指導された通り、使用方法や使用時間を守って使っていきましょう。
矯正治療終了後にも数か月に1回来院し保定観察を行っていきます。
2期治療後は、親知らずの萌出によって歯が動くこともあるため、親知らずの確認や萌出状況もみていきます。他にも、むし歯チェックや歯周病チェックも行い、お口全体の管理をしていきます。
矯正が終わったから歯医者に行かなくていいという訳ではございません。矯正が終わった後も後戻りをしていないか、その他のお口の状態の観察やお口全体の管理を行っていきます。
ご自身だけでなく、プロも一緒になってお口の管理をしていくことで健康な歯を保つことができます。
矯正費用だけで矯正治療をする医院を決めるわけではないですが、矯正を始めるうえでの1つの選択肢になると思います。1つの医院で即決せず、2〜3件の歯科医院に行き比べてみてから歯科医院を決めるのも良いかもしれません。
矯正相談やカウンセリングの際に聞いておきましょう。
小児矯正は基本「自費治療」になります。しかし、条件に該当する方は「保険適用」で矯正治療を受けることができます。
お口の中に異常がみられる先天性疾患の方(指定された59の疾患の方)
前歯や小臼歯の永久歯のうち3歯以上が生えてこず埋まっており、埋伏開窓術を必要とする場合
顎変形症と診断された方(骨切り手術を必要とする方)
など、条件に当てはまる方は保険適用で矯正治療を受けることができます。
この保険適用の矯正治療を受けられる歯科医院は決まっており「厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長に届け出た保険医療機関のみ」となっております。保険適用の矯正治療は、指定の歯科医・歯科医院でのみ受けることができますので、事前にホームページなどで確認をしておきましょう。
小児矯正は不正咬合の「治療目的」で行う場合が多く、医療費控除の対象になります。しかし「審美目的」ですと医療費控除は対象外になりますので要注意です。
見た目が気になって矯正治療を始める方でも不正咬合などの診断がつく場合がございます。その場合は「治療目的」の矯正治療になります。咬み合わせなどの状況によりますので、矯正を始める前に歯科医師に確認をしてみましょう。
矯正費用は高額になりますので、「矯正費用を分割して払いたい」とお考えの方も多いと思います。
カードの分割払いやローン払いはできる医院が多いとは思いますが、医院によって支払方法が限られていることもあります。また、カードの分割払いはご自身のカードによって上限やできる分割回数が違います。事前に確認をしておくことをおすすめします。
小児矯正でも1期治療は子供の成長を利用し、顎のバランスや咬み合わせを改善していく治療になります。年齢や成長によって始める時期は変わってきますが、子供のうちにしかできない治療です。1期治療だけで矯正治療を終えられることもあり、矯正費用も安く抑えることができます。
幸田歯科医院では、患者さんに合わせて治療方針や矯正装置についてご提案させていただきます。また、小児矯正の無料相談もやっておりますので、矯正費用や支払方法についても矯正相談時にご相談いただければと思います。ぜひ一度ご来院ください。