【小児矯正】子供の反対咬合(受け口)の矯正治療はすべき?

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【小児矯正】子供の反対咬合(受け口)の矯正治療はすべき?

結論:子供の反対咬合(受け口)は早めの治療がおすすめ

 
『反対咬合(受け口)』の矯正治療は早めがおすすめです。なぜなら、前歯だけ反対であれば、生え変わりのときに正常なかみ合わせになる可能性もありますが、反対咬合(受け口)のままにしておくと上顎の成長抑制や口腔悪習癖などの原因に繋がるからです。

正常のかみ合わせは、かみ合わせたときに上の歯が前になり、下の歯が後ろにきます。反対咬合(受け口)とは、上下のかみ合わせが反対になっている歯並びのことを指します。

かみ合わせが安定し確定してくるのが、乳歯列が完成する3歳前後になります。その際、反対咬合(受け口)になっている場合には早めに矯正治療を開始することを検討しておきましょう。

早めに改善しておくことで、より自然な成長を期待できたり変な癖がつかなかったりと悪い方向への流れを止めることができます。

子供の反対咬合(受け口)の症状について

 
反対咬合(受け口)になるとどんな問題が出てくるのかご存知でしょうか。「見た目の問題なら今矯正をしなくてもいいのでは?」と思う方もいらっしゃると思います。

しかし、反対咬合(受け口)の場合、下記の症状が出てくることがあります。

・食事がしにくい
・滑舌が悪い

舌を上手く動かすことができないために、食事のスピードが遅かったり丸呑みしていたり、硬いものを食べにくいから食べないなどの症状がみられます。

また、滑舌にも影響してくるため年齢が上がってきても聞き取りにくい発音になりやすいです。周りの子が発音できている言葉を発音できない・しにくいなどの症状がでてくると心配になってきますよね。

症状によっては習慣や癖によることもありますが、歯並びやかみ合わせが関係していることが多いです。その場合は、習慣や癖だけ改善していくのではなく矯正治療をし、原因を解決できるように治療を行っていくと良いでしょう。

反対咬合(受け口)の原因とは

 
「家族が反対咬合だと子どもも反対咬合になる?」
「だんだん下顎がしゃくれてきた気がするけど、なんで?」

など、なぜ反対咬合(受け口)になるのか知らない方も多いと思います。反対咬合(受け口)になる原因として、下記の3つが挙げられます。。

・両親からの遺伝
・舌や指しゃぶりなどの悪習癖
・下顎の発育過剰or上顎の発育不全

今、反対咬合(受け口)になっていなくても3つのうちどれかの原因がありそうな方はよく経過観察をしておきましょう。

それでは、それぞれの原因について簡単に説明もいたします。

両親からの遺伝

「顔が似ている」「背格好が同じ」など親子で似てくる部分があると思います。歯並びや骨格も親子で似てくることがあります。

親が反対咬合(受け口)だから子どもも反対咬合(受け口)になる訳ではないです。ですが、親が骨格的な反対咬合の場合には子どもが反対咬合になる確率は高くなります。

また、両親だけでなく祖父母や叔父や叔母までの3親等の中に反対咬合(受け口)の方が多いと同じようなかみ合わせになりやすいです。遺伝が原因になると、今すぐの治療が良いのか成長が止まってからの治療が良いのか悩むところです。

子どもが反対咬合(受け口)かなと思ったときには、遺伝的な原因がありそうか確認してみてください。

舌や指しゃぶりなどの悪習慣

習慣的な癖によって、反対咬合(受け口)になる方もいます。歯は、口周りの筋肉や舌の力のバランスがとれたところに並んでいきます。ですので、舌や指しゃぶりなどの癖が続くと、その癖によって歯は動いていきます。

低位舌

何もしていないときの舌の位置は、上顎にくっついているのが正常です。低位舌は、舌が下の前歯辺りに下がっている状態になります。

その場合、常に下の歯が舌に押されるため、上の歯よりも下の歯が拡がってきて反対咬合(受け口)になりやすいです。

舌突出癖

舌が前に出る癖を持っている方も低位舌と同じような力がかかります。舌突出癖は、話をするときや食事をするときに舌を前に出すような動きをします。

この癖は、母乳や哺乳瓶で飲む飲み方になり、赤ちゃんがよくする舌の動きになります。指しゃぶりやおしゃぶり、哺乳瓶などを長くしている場合になりやすいです。

舌の癖がある場合、歯並びにも影響がでてきますが、歯並び以外にも滑舌や食べ方にも影響が出やすいです。滑舌が悪いお子さんや食べるのが異常に早かったり遅かったりするお子さんに多い舌癖になります。

指しゃぶり

指しゃぶりによる舌癖も考えられますが、指の吸い方によっては下の歯に力がかかり指で前歯を押すことで下の歯が前に出ることも考えられます。

みなさんが思っている以上に普段の癖は歯並びに影響してきます。そのまま放っておくことで悪化する原因になりますので気をつけておきましょう。早めに癖を取り除くことで歯並びも改善してくることがありますので、歯医者で相談されると良いかと思います。

下顎の発育過剰 or 上顎の発育不全

上顎と下顎の成長バランスが悪く反対咬合になる場合があります。

・下顎の発育過剰→下顎が大きく成長した場合
・上顎の発育不全→上顎の成長がうまくいかなかった場合

どちらとも、上下の顎の成長のバランスが悪くなり起こります。

顎の成長は平均で上顎の成長の方は10〜12歳くらい、下顎の成長は13〜16歳くらいだと言われています。上下で発達時期が違いますので時期をみて判断していきましょう。

反対咬合(受け口)を放置するリスク

 
反対咬合(受け口)を放置しておくことで、下記のような症状が出てくることがあります。

・食事がしにくい
・滑舌が悪くなる
・顎が痛くなる

食事の仕方・飲み込み方や滑舌に関しては、習慣になっている部分も大きく大人になってから改善することが難しい場合もあります。

また、何となく普段の生活を送っていたとしても、徐々に何かしらの症状が出てくることが多いです。顎の痛みなどは、子供のうちにでてくることはあまりないでしょう。大人になってから、負担が大きくなり顎関節症になる場合があります。

このような症状を改善するためにも矯正治療が必要となります。

子供のうちに反対咬合(受け口)の矯正治療するべき理由

 
「反対咬合の矯正治療は早い方がいいと聞くけど、大人になってからだと遅いですか?」と聞かれることがあります。

反対咬合(受け口)でも、症例によっては「大人になってからやりましょうか」と言われることもありますが、基本は早い方が良いとされています。

・抜歯を避けれる
・悪習癖を改善できる
・骨格を改善できる

など、早く矯正治療をするからできることもあります。

小さいうちから矯正治療を始めると子どもの負担が心配になる親御さんもいらっしゃると思います。なぜ子どものうちに治療するのが良いのか順にお伝えしていきます。理由を知った上で矯正治療の時期を考えてみましょう。

抜歯を避けられる

反対咬合(受け口)の方の治療で多いのは、下の前から4番目の歯を抜いて治療をするという方針になりやすいです。永久歯列になっている場合には、もう成長がほとんど終わっていますので拡げて治療をするよりも抜いて出ている下の歯を引っ込めることで上下のバランスを整えていきます。

しかし、子どものうちから矯正治療を始めておくことで、以下のような治療を行うことができます。

・顎を拡げる
・顎の成長を抑制する

結果として、抜かなくても矯正治療を行うことができます。

抜歯矯正が悪いわけではなく、抜いた方がキレイになる治療計画になることもあります。だからといって、健康な歯を抜くことに抵抗がある方が多いと思います。

子どもから矯正治療を始めることで矯正治療の方法が増え、選択肢の幅が広がります。

悪習慣を改善できる

舌を含め、口周りの習慣を改善していくことができる。舌の癖は特に歯並びに影響しやすいですし、歯並びの影響により舌の癖がつくこともあります。

習慣や癖は、治したくてすぐ治せることではないです。今まで習慣や癖づいていたものを治していかないといけないため、かなり根気がいりますし、大人になってからは改善が難しいです。

まだ、習慣や癖づいて日の浅い子どもの方が改善しやすく治療が上手く進みやすくなります。

骨格を改善できる

1番大きなメリットは骨格にアプローチできるということです。顎の成長は15歳くらいまでに終わると言われています。それまでに骨を拡げるような矯正治療を行うことで骨格的なバランスを整えていくことができます。

反対咬合(受け口)の方は、見た目にコンプレックスを抱いている方も多いです。骨格的にアプローチをしていくことで、顔の見た目が変わってきます。顎が出ていたり引っ込んでいたりすることで、見た目とくに横顔の印象は変わってくるでしょう。

反対咬合(受け口)の小児矯正治療方法

 
子どもの反対咬合(受け口)を治療していく方法にはいくつかあります。また、現状の歯並び・かみ合わせによって変わってきます。

口腔内装置

お口の中に入れる装置にも色々種類があります。

悪習癖などを改善していくためのマウスピース型の装置

取り外しのできるマウスピースを使用し、お口周りの筋肉や唇・舌のバランスを整えていきます。

顎を拡げるためのワイヤー装置

固定式のワイヤーを使い歯や顎を拡げていきます。

前歯の並びを治していく表側のワイヤー装置

前歯の歯並び・かみ合わせを改善していくときに使用していきます。

口腔外装置

お口の中の装置にプラスして使用していきます。「こんなの使えるの?」「これで寝れるの?」と言われることも多いのですが、慣れてしまえば意外と使用していただけます。お子さんにとって邪魔になったり面倒になったりすることもありますが、親御さんのサポートもあることで順調に治療が進んでいきます。

これらの装置を必要に応じて使い分けていきます。検査・診断しないと分からないところもありますので、参考程度に考えていただけるといいかと思います。

小児矯正における反対咬合(受け口)の治療期間

 
「転勤があるから、治療期間が気になる」
「進学したら通いにくくなる」

など、矯正治療期間が気になりご相談いただくこともあります。

だいたいの治療期間は2〜3年になり、そのあと生え変わりを待つ期間や保定期間があります。

お子さんの歯並び・かみ合わせや骨格によって治療期間は変わってくるため、一概に「何年で終わります」と断言はできません。少なくとも2年はしっかり通えないと矯正治療の結果が上手くでないことが多いです。

お子さんのイベントや親御さんの転勤など、歯医者に通えなくなるリスクが分かっているときにはお伝えいただけると助かります。矯正治療を終えることができそうなのか、どのくらいまでならできそうなのかをお話しすることができます。

反対咬合(受け口)の小児矯正治療費用相場と保険適用について

 
矯正費用は、自費治療になることがほとんどですので、歯医者によって金額が変わってきます。

小児矯正(Ⅰ期治療)の費用は、200,000〜400,000円くらいが相場になります。検査費・調整費や装置によって費用が追加になるなど、歯医者によって追加でかかる費用がある場合がありますので確認をしておきましょう。

・どこまでを小児矯正(Ⅰ期治療)として行うのか
・追加の費用がかかるのかどうか
・Ⅰ期治療終了後しⅡ期治療へ移行するときの費用

この辺りの費用は、歯医者によって変わってきます。事前に聞いておくことで矯正治療トータルでの費用の見通しを立てやすいです。いくつかの歯医者を比べるときにも比較ポイントになると思います。

矯正治療は、自費治療になることがほとんどですが、保険適用になる場合もあります。

・「顎変形症」と診断され、外科手術が必要な矯正治療
・口唇口蓋裂やダウン症など厚生労働大臣が定める疾患が原因による矯正治療
・永久歯の前歯や小臼歯が3歯以上生えてこれず、埋伏歯開窓術が必要な矯正治療

この場合において、矯正治療を保険適用で行うことができます。

保険適用の矯正治療は、どこの歯医者でもできるわけではありません。厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関のみと定められています。

反対咬合(受け口)の方は「顎変形症」と診断され外科手術が必要な矯正治療と診断されることもあります。この場合には、矯正治療の時期などが大きく変わり、治療内容によっては小児矯正をしない場合もあります。

「子どものうちにしてあげたい」と思っている親御さんも多いと思います。ですが、適切な治療をし、お子さんの歯並び・かみ合わせがきちんと治る方法を選択していきましょう。
この保険適用の矯正治療については、実際に相談・診察してもらうときに聞いてみるといいかもしれません。

まとめ

 
反対咬合(受け口)のお子さんの治療は早めにやること下記のメリットがあります。

・抜歯矯正を避けられる
・悪習癖の改善ができる
・骨格の改善ができる

早めに治療を開始することで大人になってからの矯正治療では改善が難しい部分も治していくことができます。

お子さんの現状の歯並び・かみ合わせによっても矯正治療の開始時期は変わってきます。お子さんの成長度合いにもよりますので、定期的に歯並び・かみ合わせを診てもらっておくと安心です。

反対咬合(受け口)は、下顎の成長が止まるまでかみ合わせが変わりやすいです。だからといって、成長が止まるまで何もできない訳ではありません。少しでもかみ合わせが良くなるように、いい方向に向かうように矯正治療を早めすることもおすすめいたします。